「グラント・モリソンによるバットマンサーガ」全11冊一挙紹介 ≪アメコミレビュー≫

※この記事は以前運用していたブログに投稿していたものです。

どうも!SATDANです。

今回は久々にちょっとした記事を書こうと思います!

それは「グラントモリソンのバットマンサーガ」についてです!

これは鬼才グラントモリソンによる7年にも及んだ壮大なサーガ(ストーリー)で、バットマンの70年以上の歴史をバットマンの15年の人生として凝縮し、彼の死と再生を描き、バットマンの歴史をまとめると共に、バットマンを現代の神話へと昇華させた傑作です。

それと同時にこれまで忘れ去られてきた数々の設定やキャラクターを掘り起こし、アレンジを加えて現代に甦らせています。

それでいてどのキャラも新鮮で魅力的なのがまた凄いところです。

日本では全部で11冊の邦訳(日本語に翻訳された)本(そのうち3冊は外伝的な内容なのでスルーしてOKです)で読む事が出来ます。
今回はそれを1冊ずつ、紹介していきます!


※この記事は、僕がTwitterで軽く紹介した内容をコピペしたものをベースにしたものです。ツイートと比べるとより細かく解説していますが、出来る限りネタバレを避けるためにもアバウトなのでそこはご了承下さい。

第1部「バットマンアンドサン~バットマンRIP」
バットマン・アンド・サン
バットマンの前に現れた一人の少年、それは秘密裏に育てられていた彼の息子“ダミアン”だった。しかしそれはバットマンを陥れる壮大な陰謀の始まりに過ぎなかった・・・

この作品はかつて一度だけ登場し、酷評された後に存在を無かったことにされたダミアンを正史に復活させた大問題作です。

それだけでなく、ゴールデンエイジの子供向けだった数々のエピソードを、「ジョーカーやスケアクロウのガスによって見た幻覚」等の理由をつけて掘り起こし、その後のストーリーの伏線としたり、登場したキャラクターが重要な役割を果たすようにしてあるのもファンにはたまらないところです!

ちなみに同時収録として、歴史から消されていたダミアンの“本当の初登場”である、「バットマン サンオブデーモン」も読むことが出来ます。

こちらはバットマンとラーズアルグールがかなり友好的に活動しているという点でも珍しい作品です。

バットマン:ラーズ・アル・グールの復活 (スルーしてもOK)
死んだはずのラーズが復活を遂げた。彼の目的はバットマンの息子であり自分の孫でもあるダミアン(ダミアンはブルースとラーズの娘タリアの子)に転生すること。息子を守るため、バットマンは闘いに挑む。

サーガに含まれてはいるものの、さほどモリソンは関わっておらず、その後のストーリーにもほとんど影響しないので、読まなくてもOKな作品です。

父であり正義の側にいるバットマンと母であり悪の側にいるタリアとの間で揺れ動くダミアン、そしてダミアンというバットマンの“本当の息子”の存在に養子であるロビン達は何を思うのかがみどころです!

バットマン:ブラックグローブ
かつてバットマンを目指す世界中のヒーローにより結成された「ヒーロークラブ」が久々に会合を開き、バットマンとロビンも出席する。。しかし彼等の前に謎の組織「ブラックグローブ」が立ちはだかり、バットマンの死へのカウントダウンが始まる…

ゴールデンエイジ期のヒーロークラブを復活させていることもさることながら、一番は「ロビン夜明けに死す」を復活させたことです。

これを読んだことあった僕は度肝を抜かれました。

何故ならこの何十年も前の忘れられた話の登場人物である「サイモン・ハート」がこのサーガの黒幕の一人だったからです!

バットマン:R.I.P.
前代未聞、バットマンが死んだストーリー。死んだはずのトーマス・ウェイン(サイモン・ハート)がウェイン邸を占拠。記憶を消されたバットマンは浮浪者となってしまった…ブルース不在の中、バットマンファミリーにブラックグローブの手が迫る!

これにてバットマンサーガの第一部は完結となります。

バットマンの死は正確にはこのストーリーと同時進行に行われていたファイナルクライシスによるもの(巻末にもファイナルクライシスに関連した作品が一つ収録されています。この作品がまた素晴らしく、1話だけでバットマンの歴史をまとめあげていて必読です)ですが、本作の衝撃度はそれ以上です。

ここでもゴールデンエイジ期の忘れ去られたストーリーを見事に甦らせています。そしてナイトウィングの格好良さが以上です。

ここまでが第1部となります。
ちなみに第1部でモリソンが掘り起こしたゴールデンエイジのストーリーの数々は、「黒の事件簿」として、ブラックグローブとRIPの巻末に特典として収録されています。

モリソンは1度この第1部でバットマンを死なせ、このあとの第2部で復活させることで、新約聖書のイエス・キリストのごとく、バットマンを神へと昇華させています。

第1.5部バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル (読まなくてもOK)
サーガにおける第二部の序章。バットマンの死後、2代目バットマンに襲名することをためらうナイトウィング、そんな中、街に謎のバットマンが現れる。

この話はモリソンが一切関わってないので、ナイトウィングが2代目バットマンとなり、ダミアンがロビンに、そしてロビンだったティム・ドレイクが“レッドロビン”として独立したことをおさえておけばスルーしてもOKです。

第2部 「バットマン&ロビン,バットマン ブルースウェインの帰還」

バットマン&ロビン
2代目バットマンになったナイトウィングとロビン、数々の事件をこなす中、ブルースは過去で生きているという疑惑が浮上しはじめる。その鍵はウェイン家の先祖に隠されていた。さらに前作で登場したサイモン・ハートが再びゴッサムを脅かす。
全ての事件が1つになった時、衝撃の真実が明らかになる!


SF要素が盛り込まれ、バットマンの復活が描かれた作品で、実は何百年も前からウェイン家とバットマンは繋がっていたことが明らかになるのが激アツ!ディックとダミアンの絆にも注目です。

伏線が鮮やかに回収されていくと共にジョーカーも登場する、まさに大傑作です!

バットマン:ブルース・ウェインの帰還
バットマン&ロビンの裏で何があったのかが語られる。過去へ飛ばされ、記憶をなくしたブルース、様々な時代を転々としていく彼を追うジャスティスリーグの面々、果たしてブルースは現在に無事に戻れるのか!?


個人的にこれが一番好きな作品です。

これまでの全ての謎と、ウェイン家の謎、そしてバットマン誕生の秘密が1つに繋がる様は見事としか言いようがありません。

神々をも巻き込むSF展開に引き込まれる一冊です!

ここまでで第2部は終わりになります。
第1部のサスペンス要素にSF要素が加わり、よりストーリーに深みが増しました。様々な小ネタと共に描かれるブルースの復活劇に魅了されること間違いなしです。

外伝 バットマン:ブルース・ウェインの選択 (読まなくてもOK)
復活したバットマンは“インサイダー”を名乗り、かつての弟子達をテストし始める。一方、かつてのブルースの恋人、ヴィッキー・ベイルはバットマンの正体に気づき始めていた・・・

これもモリソンが一切関わってないので正直どうでもいい一冊なのですが、正体を隠したブルースとキャットウーマンとのロマンスは読む価値ありです。

ちなみに今度のジャスティスリーグの映画に出てくるバットマンの強化スーツはこのインサイダースーツという噂もあったりします。


第3部 「バットマン インコーポレイテッド~バットマン インコーポレイテッド デーモンスターの曙光」

バットマン:インコーポレイテッド
バットマンサーガ第3部の幕開け。死から復活したブルースは「バットマン株式会社」を設立。世界規模にヒーロー活動を拡大しながら、これまでの隠されてきた真の黒幕「リバイアサン」に挑む。
日本のバットマンであるミスター・アンノウンも登場!

僕の中ではブルースウェインの帰還と並んで一番の作品です!

国際色豊かなバットマン達をベースにしながら、ブルースの知られざる過去、そしてこれまで隠されてきた黒幕「リバイアサン」の正体が少しずつ明らかになっていきます。そして何よりもモリソンの博識っぷりが凄い。解説を読むとそこかしこに伏線が張り巡らされていたことに気付かされます。

キャラクター等の設定はゴールデンエイジからシルバーエイジのストーリーをリサイクルして作っていながら、ストーリーは物凄く新鮮で新旧バットマンファン誰もが楽しめる内容になっています。

ちなみに日本に来たキャットウーマンが触手系エロ漫画を読んでドン引きしてるシーンもありますよ!





バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光
物語が最終章へ向かってどんどん進んでいく。リバイアサンがゴッサムに進行を、始め、子供達を洗脳。ブルースは全面戦争に挑む。ブルースが恐れる「最悪の結末」とは一体何なのか、そして謎の男、「ファザーレス」の正体とは?

こちらは原書(写真の左側)も持ってる作品の1つです。
前作からフラッシュポイントによるリランチ(New 52!)を挟んで一部設定が矛盾していますが、ほとんど気になりません。

ダミアンとブルースの父と子の関係がより深く掘り下げられています。クリス・バーナムのアートも素晴らしいです。

バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏
遂にサーガが完結する。実の息子でありロビンのダミアンがファザーレスに殺されるというまさかの事態が発生し、バットマンは復讐に燃える。リバイアサンとの壮絶な最終決戦の末にバットマンを待つ結末とは・・・

こちらも原書も持ってる一冊です(写真の右側)。壮大な神話のラストにふさわしい、バットマンという男の存在する意義が描かれた結末が待ちかまえています。

また、同時収録として日本版バットマンがパワーアップしてバットマンジャパンとして再び登場しています。トンデモジャパン感満載でお送りしているのでそこも是非楽しんで貰いたいところです!


こうして第3部は完結となります。

途中リランチを挟んだことで話が矛盾しているところもありますが、サーガの本筋は変わっていません。第3部の敵「リバイアサン」は人々を洗脳し、教育によって子供達をも仲間にして世界を滅ぼそうとする、コスプレヴィランとは違い世界規模で暗躍するまさに未知なる敵です。バットマンの歴史をまとめるというコンセプトとしても、バットマンが戦う敵が時代と共に変化してきたということが表現されているなと感じました。

リバイアサンとの闘いの末にバットマンにはどんな未来が待ち構えているのか、そして数々の闘いの中で成長したダミアンとブルースの絆に注目です。

さて、これにてモリソンのバットマンサーガは完結です。

バットマンという一人の人物の壮絶な人生の記録とも言える本作ですが、ゴッサムの黄昏の巻末でモリソン自身が書いているように、このサーガはバットマンの物語であると同時にダミアンの物語であるとも言えます。暗殺者として育てられたダミアンがバットマンとの出会いを通して少しずつ成長していく様子にも注目するとよりこの作品をより楽しめると思います!

バットマンを語る上で欠かせない存在となったこのサーガ、この機会に是非1度手にとって、バットマンの壮大な歴史を味わってみるのはいかがでしょうか?

それではまたの機会にお会いしましょう!

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