『フラッシュ:邪悪なる閃光』後編 / 本編の紹介とその後の展開について



前回よりお届けしている『フラッシュ:邪悪なる閃光』の紹介記事。

前編では今作を紹介する上での補足事項として、NEW 52!の開始の発端となったイベント『フラッシュポイント』を取り上げると共に、単行本第4巻である本作に至るまでの第1巻~3巻までのストーリーをご紹介しました。
前編はこちら『フラッシュ:邪悪なる閃光』 前編 今作に至るまでの経緯について

後編となる今回はいよいよ今作の具体的なストーリーや見どころをご紹介すると共に、今作以降のフラッシュ誌の流れや、その後に続くDCユニバースリバース、そしてその後の展開について少し取り上げてみたいと思います。

それでは参りましょう。



3. 『フラッシュ:邪悪なる閃光』について



第4巻である本作では、前巻からその存在を匂わせてきたリバース・フラッシュがいよいよその姿を現すことになります。

あらすじに入る前に、前巻からの重要ポイントをおさらいしておきましょう。

本作において重要となるのは前巻グロッドの脅威にて、バリーと共にスピードフォースの世界から生還した4人の人物(ターボチャージャー、スプリント、マリッサ・レニー、アイリス・ウェスト)
彼等の能力を巡るストーリーが物語の鍵となっていきます。

まず4人の内のスプリントとターボチャージャーにはバリーと同じようにスピードフォースにアクセスできる能力が発現。彼等はその能力を活かしてヒーロー活動を開始します。
しかしトリックスターの殺人容疑をめぐる事件でスピードフォースの危険性を知った彼等はヒーロー活動を引退し、一般人としての生活に戻りました。

一方で能力が発現していなかったと思われていたマリッサはというと、実は能力が発現していることを隠しておりその力を利用して殺人を犯し、その容疑をトリックスターに擦り付けていたことが発覚。彼女は現在アイアンハイツ刑務所に収容されています。

残るアイリスに関しては現時点では能力が発現していない様子ですが、バリーはその真偽を疑っているようです。

というわけでまとめると、第4巻の時点で

  • ターボチャージャー&スプリント→能力あり、一般人として生活中
  • マリッサ・レニー→能力あり、アイアンハイツ刑務所に収容中
  • アイリス・ウェスト→能力無し、一般人として生活中



という状態で物語は始まっていくことになります。これさえ把握しておけば後は問題ありません。

それでは改めてあらすじに移りましょう。

あらすじ


前巻であるグロッドの脅威にて恋人であるパティに自身がフラッシュであることを明かし、愛する人と共に同棲生活を始めたフラッシュことバリー・アレン
しかしそんな順風満帆な生活を送る彼に新たなる魔の手が迫っていました。

事の発端は前巻でバリーと同じくスピードフォースにアクセスする能力を得たターボチャージャーことアルバート・リムが謎の転落死を遂げた事件でした。
当初は事故だと思われたこの事件、しかしターボチャージャーの自宅に残された360度カメラの映像には彼を襲う謎の人物の姿が映っていました。そしてその胸にはフラッシュのマークによく似たマークが刻まれてたのです。

時を同じくしてアイアンハイツ刑務所に収容されていたマリッサが獄中で何者かによって殺害される事件が発生。
さらにターボチャージャーと親しかったスプリントことフロイド・ゴメスまでもが殺害され、犯行現場にはターボチャージャーを襲った人物と同じマークが残されていました。

殺された3人の共通点は言うまでもなくスピードフォースの世界から帰還している点と、スピードフォースにアクセスできるという2点。
ということは次なる標的は自分か、あるいはアイリス
次なる殺人を食い止めるため、バリーは対策に乗り出します。

ここでちょっと一息


実はこの間、バリーは手がかりを探すべくキッドフラッシュにも会っています。
このキッドフラッシュの名はバート・アレンフラッシュポイント以前はバリーの子孫で30世紀出身の未来人という設定でした。
しかしリランチ以降は設定が変更され、名前はバート・アレンと名乗っているものの、その正体は未来から証人保護プログラムで現代に送られてきたバー・トールという名前の革命家になっており、かなりの改変を受けています。

ちなみに現在キッド・フラッシュを名乗っているのはアイリスの甥であるウォリー・ウェストです。ここら辺に関してはこの後でちょっと触れますので詳しくは後程。

さて、本題に戻りましょう。


実はスピードフォースには同じ能力を持つ者の存在を感じ取ることができ、たとえ離れていたとしても誰がどこにいるのかを把握できるという特徴がありました。

今回の連続殺人犯がこの能力を利用していると推測したバリー。
次なる標的になり得るアイリスにはスピードフォースは発現していないものの、その体からスピードフォースの繋がりを感じ取ったバリーは自分と同じようにスーツを着用しスピードフォースが体外に放出されるのを防ぐことで殺人犯に居場所を特定されることを防ぐことができると予想。アイリス専用のスーツを開発します。

彼の予想は的中し、スーツを着用したアイリスからはスピードフォースを感じられないようになりました。

その後の調査でターボチャージャーが転落したアパートの屋上でユタ州ソルトフラッツの砂を発見。ソルトフラッツに向かったバリーはそこでイライアス博士(第一巻より登場している重要人物。詳しくは前回の記事をご覧下さい)が開発した新型モノレールの破片を発見し、イライアス博士が事件の重要参考人であると予想。彼の研究所へと向かいます。

しかしそこで彼が見たものは予期せぬ侵入者に銃を向けるイライアス博士、そしてその侵入者であるリバース・フラッシュの姿でした。

果たしてリバース・フラッシュの正体とは如何に?そしてその目的とは・・・?


前巻で登場したキャラクター達が次々に殺されていくという驚愕の展開から始まった今作。謎の連続殺人犯をスピードフォースと科学を用いて探すという科学捜査官であるバリーの設定を活かしたストーリーが展開されていきます。
作者であるフランシス・マナプルさんのスタイリッシュなアートもこれまで通り健在で、趣向を凝らしたコマ割りが楽しめます。

また、巻末には本編とは異なる短編「ゼロイヤー:出発点」も収録。こちらは同時期にバットマン誌で展開されていたNEW 52 !世界におけるバットマンの誕生秘話を描いたシリーズ「ゼロイヤー」のクロスオーバー作品となっており、バットマンが現れて間もないゴッサムを舞台にまだフラッシュを名乗っていなかった頃の若きバリーの活躍が描かれます。




本編と合わせ、こちらにも注目です。


さて、本作の一先ずの紹介はここまで。
ここからはネタバレありで本作を紹介していきます。OKな方はそのまま。アウトな方はスクロールして項目 4 までお進みください。



それではここからネタバレです。

謎の連続殺人犯リバース・フラッシュ。
その正体はアイリスの弟であるダニエル・ウェストでした。かつて強盗団に所属していた彼はフラッシュに捕らえられた後(偶然にもそれがバリーのフラッシュとして最初の事件でした)刑期を終え前巻グロッドの脅威の騒動の最中に釈放。
しかしその直後新型モノレールの爆発に巻き込まれてしまいます。

奇跡的に一命を取り留めたダニエルでしたが、爆発によってモノレールの残骸と体が一体化してしまいます。
しかしその時、モノレールの動力源であったスピードフォースのエネルギーがダニエルに宿りダニエルも能力者に。こうしてリバース・フラッシュが誕生したのでした。

リバース・フラッシュとなったダニエルは次々に他のスピードフォース能力者を殺害。その目的は彼等のスピードフォースを吸収しより強大なパワーを得ることでした。
そしてパワーアップの果てに彼が企むもの、それは過去を改変することでした。

遡ること10数年前、当時まだ幼かったダニエルとアイリスは父親による虐待に苦しめられていました。
「母親が死んだのはおまえのせいだ」そう言われ苦しい思いをしていた彼を助け、支えてくれたのは姉アイリスの存在でした。ダニエルにとってアイリスは母親代わりであり、生きる希望だったのです。

しかしそんな2人の関係はある夜を境に変わってしまいます。ある夜、遂に反旗を翻したダニエルは父親を階段から突き落とし、彼を2度と歩くことができない体にしてしまったのです。それからというもの、アイリスはダニエルに対しどこか冷たい態度を取るようになってしまいました。

そしてそれ以降、2人は対照的な人生を歩み始めます。過去に囚われることなく大学で優秀な成績を収め、セントラル・シチズン紙の記者として真っ当な人生を歩むアイリスに対して、いつまでも過去を捨てきれないダニエルは道を踏み外し、気が付けば強盗団に所属するまでになっていました。

こうなってしまったのも全ては“あの男”のせい。スピードフォースの力が時間を進めていることに気付いた彼は同じようにスピードフォースを利用することで時間を巻き戻す力を手に入れていました。
全ては愛するアイリスのため、過去に戻って父親を殺し、幸せな日々を送りたい。ダニエルの目的はただそれだけだったのです。

そして今、フラッシュと対峙し、バリーからスピードフォースを奪い取った彼は遂にその目的を果たす力を手に入れました。パワーを奪われ、今や常人になったバリーをよそに、ダニエルは時間を巻き戻し、遂に父親に手をかけます。しかしそこにいた幼いアイリスはダニエルの予想に反し、泣きながら必死に抵抗するのでした。

最愛の人の反応を前にして戸惑うダニエル。そんな彼に弱々しいバリーは語り掛けます


出来事には必ず余波があるんだ!過去に戻って歴史を変えても問題は増えるだけ。子供の頃、君とアイリスは父親にひどい目に遭わされて苦労したんだろう。でも僕たちは過去の困難と向き合わなくちゃいけない・・・そうやって人は強くなる。人生で大切なことは前に進むことだ。過去にとらわれちゃいけない。
この台詞、バリーは決して過去を変えてはならないという信念を持って言っています。しかし彼は忘れていますが、皮肉にもバリーもまた1度過去を変えているのです。そう、前回の記事でご紹介したフラッシュポイントです。

その時のバリーもまた、ダニエルのように辛い過去を変えるために過去に戻り、そして母を救いました。しかしその結果生み出されたものは理想の世界ではなく、滅亡寸前の絶望に満ちた世界。まさしくバリーが言ったように“問題は増えるだけ”だったのです。

人生において、誰にだって変えたい過去はあります。2度と思い出したくないような辛い出来事、悔やんでも悔やみきれないような失敗。もしそれを無かったことにできるなら、誰だってそうすることでしょう。
しかし仮に過去を変えたとして、果たしてその先にあるのは本当に理想の世界なのでしょうか。過去を変えさえすれば、理想の人生が送れるのでしょうか。

かつて過去を変えたバリーは理想の世界を求めました。しかし結果としてもたらされたのは改変された世界。元の世界に戻ることすらできなくなってしまったのです。そしてそもそもバリーが過去を変えようとしなければ、今回のようにダニエルがリバース・フラッシュになる世界は生まれませんでした。バリーの行動が世界を変え、ダニエルの人生すら変えてしまったのです。

過去を変えること、それは結局現実から逃げているだけ。何の解決にもならないのです。
誰にだって逃げ出したい過去はあります。しかし大切なのはその過去に囚われず、前に進もうとすることなのです。過ぎ去った日々のことを考えるのではなく、目の前の人生に向き合い、よりよい明日に向かって進んでいくこと、それが結果として未来を、そして辛い過去を克服することに繋がるのです。

バリーの言葉を聞き、我に返ったダニエルから奪われたパワーを取り戻したバリーは再び時間を進め、元の時間に修正。こうしてダニエルの計画は失敗に終わるのでした。
それはある意味、かつて過去を変え、結果としてこの世界を作り出す原因を招いてしまったバリーの贖罪であったのかもしれません(本人は気付いていませんが)


そして事件後、バリーは改めて自身の能力の危険性と可能性を知り、より良い明日のために走り出していくのでありました。

4. 本作以降のフラッシュ誌について

さて、こうして幕を閉じたマナプルさんによるフラッシュシリーズですが、フラッシュ誌自体が終わってしまったわけではありません。本作以降もストーリーは新たなるクリエイター達によって描かれ、結果としてフラッシュ誌はDCユニバースリバースまで52号に渡って展開されました。

今回ご紹介した第4巻以降、第29号まではマナプルさんと共作で本作を担当していたブライアン・ブッチェラートさんが単独で担当したストーリーが展開され、デッドマンとの共闘などが描かれました。


そして第30号からは脚本ヴァン・ジェンセン&ロバート・ヴェンディッティ/作画ブレット・ブースの新体制がスタート。ここではアイリスの甥であり、今回ご紹介したダニエル・ウェストの息子である少年ウォリー・ウェストが初登場。バリーは彼との友情を深めていきます。

その一方で20年後の未来からもう1人のフラッシュが時を越えてやってきます。ウォリーが死んでしまった未来から来た彼の目的は自分が救えなかったウォリーの命を救うこと。現代のバリーと未来のバリーを巡るストーリーが展開されました。


(ちなみにその過程で色々あってパティとは破局することになります・・・)

そしてバリーは未来から来たもう1人の自分から母を殺した真犯人の正体を知ります。その男の名はイオバード・ソーン。リランチ前までリバース・フラッシュだった男が遂にこの世界でも登場することになりました。因縁の対決はバリーに軍配が上がり、ソーンはアイアンハイツ刑務所に収容されることになります(そして思わぬ形で復活を遂げるのでした・・・)


このソーン編の最終話である47号でブレッド・ブースはチームから離脱。脚本担当陣はそのまま(途中からヴァン・ジェンセンのみ)で、物語は進み、最終号である52号までバリーとローグズ達の活躍が描かれました。


こうして2011年から始まったNEW 52 !におけるフラッシュシリーズはその5年間の歴史に幕を閉じることになったのでした。


そしてフラッシュを含めたDCヒーロー達の物語はDCユニバースリバースへと繋がっていくことになります。

5. 『DCユニバースリバースについて


フラッシュポイントにおける現実改変、そして新たに生まれたDCユニバース。これまでその原因を作ったのはフラッシュことバリー・アレンと、世界を作り変えようとした張本人であるパンドラであると考えられていました。

しかし、そうではなかったのです・・・
2016年に刊行されたDCユニバースリバースにおいて、スピードフォースより帰還せし1人の男がその真実を語ることになります。


彼の名はウォリー・ウェスト。先程紹介したウォリーとは別の人物です。実は先程紹介したウォリーはフラッシュポイント以前には存在していないキャラクターでした。
今回登場したこのウォリーは以前の世界では初代キッドフラッシュとして、そしてバリーがクライシスの戦いで命を犠牲にして世界を救った後、彼の座を継ぎフラッシュを名乗った男なのでした。

勿論フラッシュポイント以降の世界でもこのウォリーは存在していました。しかしとある事件をきっかけにウォリーは未来人である魔術師アブラ・カタブラの手によってスピードフォースに送り込まれ、人々の記憶からその存在が抹消されてしまっていたのです。

しかしスピードフォースという現実世界から離れ、フラッシュポイントの影響を受けていない場所に迷い込んだウォリーはフラッシュポイントで忘れてしまっていた数多の戦い、そして友情の記憶を取り戻します。今の世界は本来の世界ではなく、改変された世界であることに気付いた瞬間でした。

しかしそれと同時にウォリーはあることに気付きます。かつてパンドラの手によって来るべき脅威からこの世界を守るために世界が作り変えられた時、彼女が作ろうとした世界は現在のDCユニバースでは無かったということに。彼女が世界を作り変えようとした時、この世界の歴史に外部から手を加えた存在があったのです。
その者達は本来生まれるはずだった新たなるDCユニバースから10年間の歴史を奪い取り、ヒーロー達の絆と経験を奪い取り、ヒーロー達の力を弱めたのです。そしてその干渉はフラッシュポイント以前から始まっていたことでした。

一体この世界から10年を奪い取ったのは何者なのか、時間の外で攻撃の機会を伺う強大な力の正体とは?

ジャスティス・リーグ誌においてダークサイドが死んだことをきっかけに現実世界とスピードフォースを隔てる壁に亀裂が入ったことを知ったウォリーは、スピードフォースと一体化してしまう危険を省みず、正体不明の彼等がこの世界に再び手を伸ばし、戦争が勃発することを伝えようと現実世界に何とか戻ろうとします。

しかし彼の存在を覚えている人間は誰1人としていませんでした。バットマンは彼のことを忘れ、かつてフラッシュポイント世界からバリーが持ち帰った手紙のことも忘れてしまっていました。
それだけではありません。かつては夫婦だったグリーンアローとブラックキャナリーは赤の他人に、世界初のヒーローチームとして現在に至るまで活動を続けていた、初代フラッシュであるジェイ・ギャリックや初代グリーンランタンであるアラン・スコットを始めとするベテランヒーロー達のチーム、「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)はそもそもその存在自体を歴史から抹消され、彼等の偉大なる功績は人々の記憶から消え去っていました。

さらにはフラッシュポイント以前では伴侶として共に人生を歩んだ女性、リンダ・パークまでもがウォリーのことを忘れ去っていました。

現実に絶望しながらもウォリーは最後の力を振り絞って自分に希望を与えてくれたフラッシュであるバリーの元に現れます。自分の想いとこれまでの感謝を伝え、スピードフォースに溶けていくウォリーと状況が全く理解できないバリー。

しかしウォリーが消えてしまいそうになったその時、バリーの脳裏にウォリーと過ごした記憶が鮮やかに蘇ります。すぐさまバリーは手を伸ばし、何とかウォリーを救出。
何故忘れてしまっていたのか、バリーは涙ながらにウォリーと抱き合い、再会を喜ぶのでした。

現実世界に帰還したウォリーはバリーに歴史改変の真実を伝えようとします。しかし時間の外にあったスピードフォースから離れ、改変された世界に戻って来てしまったウォリーには全てを思い出すことができなくなってきていました。
しかしそれでも確実に伝えねばならないことは覚えています。今の世界になってしまったのはバリーのせいではないこと、そして強大な力を持つ未知なる敵が我らを“見張っている”ということを・・・

一方その頃、突如現れたウォリーに戸惑い、状況が掴めなかったバットマンことブルース・ウェインはウォリーの消えたバットケイブの壁に何かを発見します。
それはウォリーが現れ、手紙のことを問いかけて消えた際にスピードフォースから飛んできて壁に突き刺さった物でした。

壁から掘り出しバットマンが手に取ったもの、それは1985年、キーン条約が施行されヒーロー活動が禁止となった世界でオジマンディアスによって殺されたはずのコメディアンが身に着けていた黄色いスマイルマークのボタン。

そう、
アラン・ムーアの傑作、ウォッチメンの世界にあるはずのボタンだったのです・・・!


一方ウォリーがバリーと再会する少し前、どこかの路地裏で、かつて世界を作り変えようとした女性パンドラは何者かに追い詰められ、窮地に立たされていました。
死を覚悟した彼女はその者に向かってこう言い放ちます。

貴様の罪は消せない。これは私の罪だとずっと思っていた。パンドラがこの世に罪を解き放ったと。疑念。不信。腐敗。冷血な心が信じるすべてのもの。
けれど、希望だけは残った。ヒーローは希望の象徴だ。ヒーローたちの希望と献身と愛情が貴様を消し去る。たとえ私が死んでも、彼等が証明してくれる 
貴様など冷酷な怪物にすぎないと・・・ 

そして次の瞬間、眩い閃光と共に辺りは静寂に包まれます。そしてそこには粉々になったパンドラの破片が・・・
それはあたかも、ウォッチメンの終盤で“あの男”に殺されたロールシャッハのようでした・・・ 



そして火星、空中で壊れた腕時計を分解、修復する1人の男の姿が。男の姿は最後まで描かれないものの、物語はウォッチメンからのある会話の引用で幕を閉じます。

「最後にはうまくいった」 
「最後」「最後などない」「何事にも」

こうして DCユニバースを揺るがす大事件は幕を閉じたのでした。

言うまでもありませんが、パンドラを殺した男、そしてヒーローたちの歴史を奪い取った男の正体はウォッチメンに登場する全知全能に近い存在であるDr. マンハッタンに他なりません。

これまでDCユニバースは彼から干渉されていたという衝撃の事実が明かされると共に、これまで交わることなく独立した存在であり続けていたウォッチメンが遂にDCユニバースと絡むことになるという、アメリカンコミックス全体としても衝撃的な結末を迎えたこの作品。
この後、リバースと称され全てのタイトルがリニューアルされて再スタートを切ったDCユニバースは、全てのタイトルが密接に繋がり、コミック全体でこの歴史改変の秘密と、来るべき脅威の存在、そして失われた歴史の数々の真相に徐々に迫っていく展開となっていきました。

そして当然ながら、このフラッシュ誌もリニューアルされることになるのです。



6. リバース以降のフラッシュ誌について

フラッシュポイントに続きDCユニバースリバースにおいても重要人物となったフラッシュことバリー・アレン。
彼を巡る物語はジョシュア・ウィリアムソン脚本の新体制の下、新たなるステージに進んでいくことになります。

一方DCユニバースリバースで復活したウォリーはヒーローとしての活動を再開。
彼とその仲間達の活躍は主に「TITANS」で読むことができます。


ちなみにフラッシュ誌に関してはつい最近単行本第1巻が邦訳されました。
こちらに関しては公認ブロガーの記事としてこの記事とは別に取り上げる予定ですのでそちらもお楽しみに。





現在このフラッシュ誌は2018年2月5日現在の時点で第39号(アニュアルも含めると合計41号)まで刊行されています。
以前のシリーズにも登場したローグズや、新たなる敵なども多数登場していますが、中でも注目すべきはバットマン誌との間で行われたクロスオーバーである、「ザ・ボタン」です。これに関しては既に邦訳も決定しているようですので、日本語で読めるのもそう遠くないかもしれません。


物語はウォリーの期間からしばらく経ったある日、バットケイブにてウォリーと共にやって来たスマイルマークのボタンを調査していたバットマンは、偶然このボタンがバットマン誌に登場しているサイコパレートのマスクに反応することに気付きます。

サイコパレートに関してはこちらもどうぞ→邦訳レビュー 「バットマン アイ・アム・ゴッサム」

この事実をバリーに伝えるブルースですが、バリーは別件で取り込み中。1分間待ってくれという通信を受け取ります。

しかしその直後、バットケイブに予期せぬ侵入者が・・・
それはイオバード・ソーンことリバース・フラッシュ。

先程も紹介した通り、ソーンはアイアンハイツ刑務所に収容されているはずでした。しかしフラッシュ#19のラストにおいて、刑務所にいるソーンの元に突如謎の落雷が直撃。
それによって拘束から解放されたソーンは自由になったばかりか、なんと改変される以前の世界の記憶を思い出していました。そう、フラッシュポイント世界において、トーマス・ウェインに殺されたという記憶を。
全てを思い出したソーンはリバース・フラッシュとして、トーマスの息子ブルースへの復讐を果たしにやった来たのです。

高速移動で攻撃するソーンに為す術無しのブルース、そんな中、ソーンはバットケイブに飾られていたトーマスの手紙を引き裂き粉々に。
既にかなりのダメージを負っていたブルースですが、何とか1分間生き残ることに成功します。そう、1分経てばバリーが来てくれるのです。

しかしバリーは少々遅れて到着。そこで彼が見たものは重傷を負い気絶したブルースと、白骨死体と化したソーンの姿でした!

一体ソーンに何があったというのか?謎を解くため、2人はコズミックトレッドミル(フラッシュが使うランニングマシーンで、タイムスリップが可能)を用いて過去に戻ろうとします。しかしそんな彼等を監視していた“あの男”、彼等を弱体化させるため、ある世界に彼等をいざなうのでした・・・

DCユニバースに隠された謎に迫る、実質DCユニバースリバースの続編と言ってもいいこの作品。今後のDCユニバースを知る上で、要チェックです。
(ちなみにこの後バットマンがどうなったかはこちらの記事でちらっと触れていますので気になる方はこちらもどうぞざっくり高速レビュー バットマン#33)

そしてDCユニバースを巡る物語は現在刊行中の超話題作『ドゥームスディ・クロック』に続いていくことになります。


僕はまだ1号しか読めていないのですが、実質ウォッチメンの続編とも言える作品で、DCユニバースに詳しくなくてもウォッチメンさえ知っていれば楽しめると作者であるジェフ・ジョーンズも語っていますので、気になる方はこのビッグウェーブに乗ってみるのもいいのではないでしょうか。まあに邦訳されることはほぼ間違いなしですが(笑)


今後もDCユニバースは益々の盛り上がりを見せそうです。




さて、前回から前後編に渡ってお送りしてきた『フラッシュ:邪悪なる閃光』、いかがでしたでしょうか。

前回の冒頭にも書いた通り、この記事を通して多くの人にこの作品を知ってもらうことが、マナプルさんへの支援になることを心から願っています。
ちなみに最近ではジャスティス・リーグ誌で始まる新しい体制である「ジャスティス・リーグ ノージャスティス」の予告画像でその筆致を見せてくれており、今後も活躍されていくようです。

今後もマナプルさんの益々のご活躍を応援していきたいと思います。

というわけでかなりの長編にはなりましたが、これにて完結としたいと思います。
久々の投稿になってしまい申し訳ありませんでした・・・2月中は投稿ペースを大幅に上げる予定ですので、引き続き宜しくお願い申し上げます。

それではまた近いうちにお会いしましょう!


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